社畜カンダタの筋トレブログ

筋トレ初心者のカンダタが強く大きな男を目指して、独断と偏見で筋トレ界隈の情報を整理配信するブログです。

筋トレには高負荷?低負荷?【文献】

近年、筋トレSNS界隈でよく聞くのが、「ボリューム」という言葉ですよね。

 

これは1週間における「重量×Rep数(反復数)」の総和が大切だよね🤔というものです。

 

例えばベンチプレスの場合、1回しか挙げられない重量(1RM)を100kgとした場合、おおよそ重量90kgでは45回、重量80kgでは10回挙上できる計算となります。この時、100の場合は100×1=100ですが、90の場合は90×5=45080の場合は80×10=で800となり、出力したエネルギー総量は重量80でのトレーニングが比較的大きくなります。この総和に注目するのがいいでしょうということです。

 

この理論にはどのような背景があるのでしょうか。少しだけご紹介します😄

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「効果的な筋トレの負荷量は、最大負荷の70%以上の高負荷が望ましい」アメリカスポーツ医学会(American College of Sports Medicine. 2009)。

 

 この頃から、運動生理学やスポーツ栄養学の分野では、大きなパラダイムシフトが起こったとされています。

  • 筋肉のもととなる筋タンパク質の計測が可能となり、レーニング効果を筋タンパク質の合成速度で判断できるようになったためです。

 

 このパラダイムシフトが生み出した答えはは意外なものでした😮これまでの常識を覆すような衝撃の内容でした😵

 

 「低負荷でも高負荷と同等か、それ以上のトレーニング効果が得られる」

 

  •  2009年、イギリス・ノッティンダム大学のKumarらによって、低負荷でも、運動回数を高めることで効果的なトレーニングが行えるという研究結果が報告されたのです(Kumar V, 2009)。
  • さらに、翌年の2010年には、マクマスター大学のBurdらが最大負荷の30%の低負荷であっても運動回数を増すことで70%の高負荷よりもトレーニング効果が高くなる可能性を報告されました(Burd NA, 2010)。

 

 これらの報告は、低負荷でも運動回数を疲労困憊まで行うことによって、高負荷と同じようなトレーニング効果が得られるという、これまでの類型を破る知見として注目された。

 

 

 少し専門的な内容になってきましたが、もう少しで終わりますので、お付き合いくださいm(_ _)m

 

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   そして、筋トレにおける「低負荷 vs 高負荷」論争がはじまりました。

 

 まず、高負荷を推奨する研究者たちの論拠は「サイズの原理」に依拠しています😔

 

  •  筋力を発揮する際、サイズの小さい遅筋線維から動員され、最大筋力に近づくにしたがって、サイズの大きい速筋線維が動員されいます。
  • このようなサイズの原理によれば、サイズの大きい筋線維を動員するためには、高い負荷が必要であり、筋力トレーニングには高負荷が最適であるとされています。

 

 

 

 しかし、マクマスター大学のBurdらは、これに疑義を投げかけた😠

 

  •  Burdらは、高負荷でなく、低負荷でも疲労困憊にまで運動回数を行えは、サイズの原理と同じように速筋線維の動員が生じることを明らかにしたようです(Burd NA, 2012)。
  • ちなみに30%の低負荷でも疲労困憊まで運動回数を高めることで速筋線維の動員が可能であることが示されている。

 

 【このような論争にひとつの答えを示した2016年に報告されたメタアナリシスがあります】

 

 2016年、ニューヨーク市立大学のSchoenfeldらは、それまでに報告された9つの研究から最適なトレーニングの負荷量についてのメタアナリシスを初めて報告しました。

 

  •  トレーニング初心者は、低負荷でも最大筋力、筋肥大ともに効果的であることが示されました。また、トレーニング経験者においては、高負荷トレーニングが最大筋力、筋肥大の増大に効果的であることが推測されたが、その有意性については研究数が少ないことから断定できませんでした。
  • Schoenfeldらのメタアナリシスにより、低負荷でも効果的に最大筋力、筋肥大を増強させることが示されており、特にトレーニング初心者に最適であることがわかりました。
  • しかし、トレーニング経験者に対する高負荷トレーニングの優位性については、さらなる知見の収集が必要だということです。

 

 そして2017年8月、二回目のシステマティックレビューとメタアナリシスが報告されました。

 2016年のメタアナリシスで課題となった統計力の低さを補うために、倍増の21件の研究報告をもとに分析を行われています。

  • レーニングの最適な負荷量には、最大筋力や筋肥大など目的とする項目によって「特異性」があるという興味深い知見が示されました。
  • 最大筋力を高める効果的なトレーニングは、高負荷がもっとも最適であることが示されています。トレーニング初心者では低負荷でも高負荷でも最大筋力は増大します。
  • また、筋肥大は、トレーニング経験を問わず高負荷、低負荷ともに効果的であることがわかりました。
  • さらに、筋の収縮様式においては、等尺性筋力(アイソメトリック)では高負荷、低負荷ともに同じ効果が示されました。また、等速性筋力(アイソキネティック)では、トレーニング経験者は高負荷で増強し、トレーニング初心者では高負荷、低負荷に差はありませんでした

 

 トレーニング初心者は、最大筋力、筋肥大、筋の収縮様式に関わらず、どの項目でも低負荷トレーニングによって効果があります。最初は低負荷から初めて、徐々に高負荷に移行するのが適切だと思います。

ぜひ、ご自身のトレーニングメニューを考案する際にご参照ください🤗